未発見の粒子たち
グラビトン = 重力を伝えるゲージボソン
光子やグルーオン、W+・W-・Zボソンたちが自然界の基本的な力である3つの力(電磁気力・強い力・弱い力)を伝えているということはすでに学びましたね。
ここで少し疑問に思うことはないでしょうか?
3つの力には私たちを地球上に引き止めている力である「重力」が入っていません。
重力はニュートンによる万有引力(ばんゆういんりょく)の法則や、
より正確にはアインシュタインの一般相対性理論(いっぱんそうたいせいりろん)によって説明することができます。
これらの理論によって、私たちと地球の間に働く重力や太陽と惑星の間にはたらいてい重力を上手く説明することができています。
しかし、このような重力の理論を素粒子のようなミクロな世界で使おうとすると上手くいかないということが分かっています。
アインシュタインの理論をそのままミクロな世界に使おうとすると、計算不可能であることを表す「無限大」が出てきてしまうのです。
ミクロな世界の重力をどのように説明すれば良いのか、全然分かっていません。
通常、素粒子のようなミクロな世界では重力は他の3つの力と比べてとても弱く無視することができます。
なので、重力の理論が分かっていなくても困らないことが多いです。
しかし、宇宙が始まってすぐの時代や現在の宇宙にたくさん存在するブラックホールの中などでは、ミクロな世界でも重力がとても強い状況になることがあります。
宇宙の始まりやブラックホールを完全に理解するためには、ミクロな世界の重力理論である
「量子重力理論(りょうしじゅうりょくりろん)」が必要なのです。
そのため、世界中の研究者が量子重力理論を作ろうと何十年もかけて努力しています。
そして量子重力理論には、重力を伝える素粒子「グラビトン」が含まれるはずです。
他にもあるかも、未知の粒子
今、現在の素粒子の理論には含まれていないグラビトンが存在するはずだという話をしました。
実はその他にも正体や性質が分かっていない粒子が存在する可能性があります。
そりゅうしカードの中の「未知の粒子」はそういった現代の物理学では説明できていない(グラビトン以外の)粒子をまとめて表しています。
例えば、宇宙に関する観測から宇宙には目に見えない物質「暗黒物質(あんこくぶっしつ)」(ダークマターとも呼ばれる)がたくさんあることが分かっています。
暗黒物質はクォークやレプトンなどでは説明できないため、暗黒物質を作っている未知の素粒子が存在しているはずです。
他にも超対称性理論(ちょうたいしょうせいりろん)や高次元理論(こうじげんりろん)などが存在を予言するような粒子たちもあります。
今、存在が分かっている素粒子たちだけでは説明できないような現象を見つけたり、そういう現象を説明したりするために、今日も世界中の研究者たちが様々な視点から研究を行っています。